【NOVEL】 静寂の叫び
著者:ジェフリー・ディーヴァ
出版社:早川書房(初版1997年)
翻訳者:飛田野裕子
発表年:1995年
原題:The A Maiden's Grave
形態:文庫
単行本:(1997年)
他出版社:なし
ジャンル:ミステリー
シリーズ:ノンシリーズ
【あらすじ】
聾学校の生徒と教員を乗せたスクールバスが、カンザス州を走行中に3人の脱獄囚
に乗っ取られた。彼らは食肉加工場に、生徒たちを監禁してたてこもる。人質解放交
渉の知られざる実態を描いた新感覚サスペンス。
間を忘れて読んじゃいました。
人質交渉をリアルに描いており一つ間違えば人質が殺されると言う緊張感が伝わっ
てきます。
何より見事なのは人質達がなんと聾学校の教師2人と生徒達で下は6歳上は17歳と
まだ少女といえる年齢の子供達で8人からなり総勢10人になります。
みんな個性的でキャラクターがしかり描かれており犯人側もFBI側もしっかり個性的
に描かれており無駄がありません、上下巻600ページ以上の作品ですがほとんどが
交渉シーンで10人の人質を解放していく様が息つく暇がないです。
3つの視点で描かれており、FBI側で主人公であるポター捜査官犯人3人組のリーダ
ーのハンディーそして人質の新人教師のメラニーの視点で描かれていて構成が見
事でした。
人質交渉も身内からの足の引っ張り合いなどこれでもかと見せ場を用意してくれて
ます。
耳の聞こえない人質達の使い方もうまく読んでいて良くこんなこと考えるなと関心し
ました。
シュワで秘密にりに会話していく教師と生徒達・・・また耳が聞こえないための恐怖
などうまい!とうならされました。
最初は気が弱くおどおどしていたメラニーも追いつめられたウサギのごとく犯人達
に抵抗するようになるんですが実を言うと少女達を救ったのはポターの交渉ではな
くメアリーの勇気でした。
この二つのやりとりを面白くしていたのが犯人のハンディです彼の異常性というか
普通の犯罪者とは全く違う精神構造に読んでる私もこいつ凄いなと感心してしまい
ます。
残忍で冷酷な犯罪者なのだけどそれだけではないところが物語りに厚みを与えて
いると思った。
やはりこういう作品は悪役がきちっと描かれないとだめですね、また人質が解放さ
れハンディが捕まったあとのどんでん返しはビックリでしたよ、そして明らかになっ
た事件の全貌にもなるほどとうならされました。
私はリンカーン・ライムシリーズより面白かったです。




