fc2ブログ

ねむりねこのゲームと本と映画のお部屋

ねむりねこが大好きなレトロゲームと小説と映画のお話です。
0

【NOVEL】 クリスティーン

クリスティーン
著者:スティーヴン・キング
出版社:新潮社 (初版1987年)
翻訳者:深町 真理子
発表年:1983年
原題:Christine
形態:文庫
単行本:なし
他出版社:なし
ジャンル:ホラー
シリーズ:ノンシリーズ


【あらすじ】
〈負け犬〉のアーニーは17歳、唯一他人より優れているのは車の整備だけだった。
そのアーニーが路傍にセールの札をつけて置いてあったオンボロ車に一目惚れし
てしまった。両親の大反対を押し切り、バイトで稼いだ金を注ぎこんでアーニーはこ
の車を手に入れた。赤と白に塗り分けた’58年型プリマス・フューリー。名はクリス
ティーン、だがクリスティーンはただの車ではなかった。

この作品は先にビデオの方を見てたんだけどずいぶんと印象が違います。
映画の方はクリスティーが製造工程から自我を持ち人を殺していく、持ち主アーニ
ーの怨みがクリスティーを突き動かすと言う話ですが原作となると、アーニーの前
の持ち主の怨念がアーニーを浸食しクリスティーンを動かし自分をあざ笑うやつを
かたっぱしから葬り去っていくんです。
でも原作ではホラーではあるけどベースとしては「愛情」を描いていると感じます。
アーニーは確かに負け犬です。
誰からも愛されていない唯一幼なじみのデニスだけは親友といえる間柄でした。
彼の親というのも母親はプライドが高く自分が中心でないときが住まない人を支配
しなければ気が済まないたとえ旦那であろうと息子であろうと、旦那は全く頭が上が
らず奥さんの後ろをついて回るしまつ、一見なんの愛情も感じられない親子関係
正直この家庭に対して嫌悪感があった。
じゃあ親友デニスとの絆だけの作品なのか?読み進めるうちに皮肉にも精神が壊
れていくアーニーを目前に本音をのぞかせる父と母、そうです。
彼らはアーニーを心から愛していました。
愛情が違う形で現れていた不器用な親なだけだったんです。
この作品における登場人物たちは実に個性的で魅力あふれ生き生きしてると思い
ます。
デニスの父と母妹のエリーなど凄くかわいらしいですよ、15歳の少女らしく天真爛
漫に描かれていて、デニスとのやりとりなど仲の良いどこにでも居る兄妹です。
個人的にはアーニーがお世話になっていた自動車修理工場の同僚ジミーがちょっ
と抜けてていい味出してました。

原作の方は前の持ち主ルベイの怨念が執拗に描かれてました。
彼もまた負け犬であり嫌われ者だった。
そしていつも世間に対して怒っていた。
アーニーとルベイは非常に似ていたんですね、アーニーにあってルベイに無い物
それは親友デニスでした。

この作品は「シャイニング」に非常に似ているなという印象です。
人の弱みにつけ込みある種の怨念が人を操る、「シャイニング」ではホテルに停滞
する元オーナーの怨念が少年の父親の心の隙をついて操りました。
アーニーも弱い自分の心をクリスティーンに取り憑いていたルベイの怨念に支配
されていました。
ゆっくりと少しづつ人格が変わっていくアーニー、その違和感に最も早く気が付い
たのはデニスです。
そしてはっきりとアーニーはルベイとシンクロしていっていくデニスがそれに気が付
いたときには取り返しが付かなくなっていました
彼はアーニーを救えるのか、アーニーにあってルベイに無い物それは「愛」であり
「友情」ルベイにあるのは怨念と具現化したクリスティーンだけ、凄く人物描写が事
細かで登場人物達が個々として無駄がないのはキングの真骨頂でしょう、だから
彼の作品はただ怖いだけではないのだと思う

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ


ブログランキング
該当の記事は見つかりませんでした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://neneko1124.blog.fc2.com/tb.php/1313-0daaaf58