【NOVEL】 蝋人形館の殺人
著者:ジョン・ディクスン・カー
出版社:東京創元社(初版1981年)
翻訳者:和爾桃子
発表年:1932年
原題:The Corpse in the Waxworks
形態:文庫
単行本:なし
他出版社:文研出版・早川書房・
ジャンル:ミステリー
シリーズ:アンリ・バンコラン
【あらすじ】
行方不明の元閣僚令嬢が、他殺死体となってセーヌ河で発見された。予審判事バン
コランは、彼女が最後に目撃された蝋人形館の館主を尋問したのち、その館へ赴き展
示を見て回るが、そこで半人半獣の怪物像に抱かれた女の死体を発見する。頽廃の都
を震撼させる異様な殺人事件の真相とは。優雅な装いの下に悪魔の冷徹さと知性を秘
めたバンコランの名推理。
もうタイトルからして興味津々ですよね、カーといえば怪奇とミステリーの融合と不可能
犯罪というイメージですがこちらの作品は殺人の舞台が過去の殺人鬼などおどろおど
ろしい蝋人形が展示されている蝋人形館というかとで描写も含めて不気味な感じです
しかし本編は至って普通のミステリーとなっており若い女性二人を殺したのは誰なのか
という犯人当てがメインになっています。
クリスティーなど他の作家さんでも描かれてますけど当時のイギリスの判事は捜査を
指揮するんですね、警部など警察たちはバンコランの捜査指揮に従っていますし
他の作家のミステリーでもたびたび見られます。
だとしたら探偵小説の主人公にはうってつけですよね、自然に事件を捜査できることで
すし、他のシリーズ同様この作品は語り手の語りによって構成されています。
語り手はバンコランの友人のジェフ・マール氏です。
なぜ警察関係者でもない一般の彼がバンコランと一緒に事件捜査に同行しているのか
できるのかという疑問はありますけど(^^;
彼の視点と彼の考えなどで話は進みます。
一見登場人物のなかに犯人像に一致する人たちがいて語り手であるジェフの考えが
彼らが犯人じゃないかという先入観を持っているので読んでいるとこちらもそんな気が
してきます。
よくできていますね、ちょっとした誘導だと思います。
作品中ヒントはちりばめられているので冷静に読んでいけばぴんとくる方も居るかも知
れませんね、誰がなぜ彼女たちを殺したのかまたその後犠牲者が増えるのですが
それの犠牲者と犯人の関係は?
そういった物を考えてみると面白いかも知れません・・・個人的にはこのシリーズのほ
うがわかりやすくて面白いです。




