【NOVEL】ドロレス・クレイボーン [著]スティーヴン・キング
【著者】スティーヴン・キング
【出版社】文芸春愁 (初版1998年)
【翻訳者】矢野 浩三郎
【発表年】1993年
【原題】Dolores Claiborne
形態:文庫
単行本:- - - - -
他出版社:- - - - -
ジャンル:サスペンス
シリーズ:ノンシリーズ
【あらすじ】
そう、たしかにあたしは亭主を殺したさ…30年前に夫を殺したと噂される老女ドロレスに、再び
殺人の容疑が。彼女の口から明かされる二つの死の真相―皆既日食の悪夢のような風景の
なかに甦る忌まわしい秘密。罪が生み出す魂の闇
クロしている部分もかいま見れます。
『ジェラルドのゲーム』のヒロインジェシーとドロレスは同じメイン州に住みジェシーはシャー
ボットの町にロドレスは反対の東の島リトル・トールアイランドで同じ時日食の中で精神的な
出会いを果たします。
その後ジェシーはジェラルドと出会い「ジェラルドのゲーム」へドロレスは本作へとエピソード
が続きます。
なぜ二人が精神的な出会いを果たしたのかは謎です。
この作品を読んでキングの凄さがかいま見た気がしました。
なぜならこの作品は主人公ドロレスの自供だけの作品だからです。
彼女の一人称の語り口で彼が犯した罪を告白しているだけの作品だからです。
彼の話の聞き手は3人いますが決してドロレス以外の台詞はありません、あくまでドロレスの
語りだけで360ページを語っています
読み始め違和感があるでしょうが、彼女の語りが進むにつれ物語に、彼女の告白に魅了され
るでしょう、ドロレスの女という部分そして3人の子供の母親という部分が彼女の口からリアル
に語られドロレスという老女の魅力に引き込まれるんです。
彼女の語る半生はつらくもあり魅力的でもあった。
彼女が仕えていたヴェラとの奇妙な絆、愛する娘セリーナ彼女はこの二人の愛のために生き
てきたと感じました
なぜ夫を殺したのか、ヴェラの最期を見取った彼女、そしてヴェラはドロレスに遺産をすべて
託した。
そして知るヴェラの素顔と真実ドロレスの目を通して女性の強さをしっかり描かれていた。
正直キングはどうして子を持つ母親の気持ちがこんなにわかるんだろうと思う、もしかして
マザコン?なんて思ったりしますそれだけこの作品で描かれているドロレスト老女に魅力があ
るということなんです。
ただドロレスの自供だけで構成されたこの作品は誰にもまねが出来ないと思う、こんな特殊な
試みを見事に成功させたキングの才能に鳥肌が立ちました。
名作はいくつもあるけど本当にキングの凄さがわかるのは本作だと断言します。
スティーヴン・キングを知る上で欠かせない一冊でしょう
またこの作品は映画化もされており映画『ミザリー』のミザリーを演じたキャシー・ベイツが
ドロレスを演じています。
凄く興味深いですがこの作品をそのまま映画化は無理でしょう、ドラマ仕立ての
『ドロレス・クレイボーン』にも興味がわきます。
ちなみに映画タイトルは『黙秘』です。




