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ねむりねこのゲームと本と映画のお部屋

ねむりねこが大好きなレトロゲームと小説と映画のお話です。
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【NOVEL】 幻夜 [著]東野圭吾

幻夜
【著者】東野圭吾
【出版社】集英社
【初版】2004年
【形態】単行本
【文庫】2007年
【他出版】- - - - -
【シリーズ】ノンシリーズ
【ジャンル】サスペンス


【あらすじ】
’95年、西宮。未曾有の大地震の朝、男と女は出会った。美しく冷徹なヒロインと、彼女の意
のままに動く男。女の過去に疑念を持つ刑事。彼女は一体誰なのだ…。

この作品は四年前の作品「白夜行」の続編です。この作品を先に読んでいても支障はない
けど本当のこの作品の面白さは「白夜行」
を読んでいないとわからないです。
この作品単体でも問題ないというのは深海冬美という女性が主人公であるからです。
じゃあ前作「白夜行」との繋がりは?と聞かれると主人公冬美が関連しているからです。
矛盾してるよね、でもこの意味は順番に読んでいないとわからないわけですよ、また意味
がわからなくても支障がないないんです。
これは東野氏の構成のうまさと言うほかありません,では「白夜行」を連想させるものは
いったい何なのか、主人公の魔性と主人公の人を陥れる手口、そして白夜行の主人公
だった雪穂の形跡を示唆する土地や建物などです。
この作品と「白夜行」を通じて感じることはこの二冊である女性の
人生の生き方を描いていると言うことです。
特にこの作品をよんで強く感じた事なんですよね、冬美が成り上がるために取った行動が
すべて同じ手口である自分の前に立ちはだかる者、自分の過去を探ろうとする者は容赦な
く排除するそのためにはどんな手段でも自分の手を染めてでも実行する、自分の女という
武器を最大限に生かして彼女は上を目指していく・・・この作品におけるもう一人の主人公
「雅也」彼もまた「白夜行」の亮司と同じ運命をたどる、彼と違うところは冬美の本質を見抜
いていること、そして正直な気持ちを持っていること、冬美のいいなりになってはいるもの
のその行動に対する良心の呵責に悩む、別の道に入ることも彼には出来た。
冬美が幻の中で生きていることに気がついている唯一の人間でもあるわけです。
それでいて彼女の過酷な要求に答えてしまう彼が居る、正気の部分ではそのことに対する
苦悩が描かれていて冬美の生き方と雅也の生き方に雪穂と亮司を重ねることができる反面
雅也が亮司たり得ない証拠でもあるわけです。
だからそんな彼をも自分が生きるための手駒でしかなかった冬美は彼を平気で捨て去った。
彼女の幻想の世界のために犠牲になった人達は多い雅也も冬美と出会ったときにその運命
は位置づけられていたと言うことでしょう・・・
魔性の女彼女の望む世界とは幻の世界、誰をも信じず誰をも排除する冬美の人生は孤独
であると思う、昔も今もこれからもそれはとても悲しい人生なのかもしれない、ラストは彼女
の本質でもあるけど悲しみでもある、彼女は死ぬまで同じことを繰り返すのだろう幻想の
世界に生きるために「白夜行」「幻夜」は一人の幻想の世界に生きる女の物語です。

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