ねむりねこのゲームと本と映画のお部屋

ねむりねこが大好きなレトロゲームと小説と映画のお話です。
2

【NOVEL】 失はれる物語 [著]乙一

失はれる物語
【著者】乙一
【出版社】角川書店
【初版】2006年
【形態】文庫
【単行本】2003年
【他出版】- - - - -
【シリーズ】ノンシリーズ
【ジャンル】短編


【あらすじ】
目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も
五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニスト
の妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。そ
れは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか
「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」
書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。

8編の短編を収めた短編集でどの作品も重い傷を負や闇を抱えた登場人物達
の再生を描いています。
表題作に関してはラストが重いですけどね・・・

♪ Calling You
人とのつきあいが苦手な主人公は携帯を持っていません、周りの同級生はみん
な持っているのに、お世辞で褒められると本気にしてしまい服装髪型にしても
ずっと褒められた髪型服装で通してしまいます
からかわれても本気にしてしまう主人公は次第に人との関わりを立っていきます
そんな彼女に突然電話が掛かってくる携帯を持っていないのになぜ?
それは脳内携帯という感じのものでした頭の中で呼び出し音が鳴り会話が出来
る電話の主は同じ高校生の男の子でした。
この作品は似たもの同士の二人が頭の中の携帯で会話をしそして精神的に
成長するお話でした。明るく楽しい人が楽しめる学校生活、人つきあいが苦手で
内気な生徒には苦痛な学校生活そんな人たちの心を描いている作品でした。

♪ 失はれる物語
表題作になります。この作品は交通事故により植物人間になった主人公の
切なくて辛い物語でした。
植物人間となった人の心を描いていて辛いお話ですけど、暗闇のなかで意識だ
け生きているということを考えさせられます。
このお話では右腕の皮膚だけ感覚が残っており1本だけ動く指で意思表示が出
来ます。暗闇の中視覚も嗅覚も聴覚もない主人公が唯一外界と接触できるのが
その腕での皮膚でした。
そのことを知った奥さんは毎日腕の皮膚を鍵盤に見立て演奏するのでした
ピアノを演奏することで主人公は奥さんが来ていることを知ることが出来また
皮膚に文字を書くことで奥さんの話が聞けるようになります
そしていつしか幼かった子供が大きくなり同じく皮膚を通して話し掛けてくるように
なり、美しくピアノの才能がある奥さんそして成長した娘・・・彼女たちの未来を考
えた主人公はある決断をする、本人は辛いことでしょうけど二人の未来を考える
と仕方がない決断だったのかも知れません

♪ 傷
子供は親を選べません・・・この作品では両親に恵まれない二人の男の子の
お話です。
母親が壊れて父親を殺害し自分も殺されかけたけど命が助かったアサトと
語り手であり両親からの虐待をうけていたオレの物語です
いつしかどんな傷でも自分や他人に移すことが出来る能力を持ったアサトは
自分が辛い目に遭うことで他人を助けたいという思いから怪我をした人の
苦痛を自分にうつす行為を始めます。
自分がどんなに酷い目に遭ってきたかを考えるとなぜ自己犠牲を行えるのか
オレとアサトの関係を見てアサトの重い気持ちが伝わってきます
自暴自棄になったアサトは重病患者の傷を自分に移そうとまでします
自分は死んでもいいという生きていては行けないんだというアサトに同じく
孤独なオレは諭すのでした。
ラストを見る限り極限の心理状態をオレと二人で乗り切ったオレとアサトは
きっとすばらしい人生を送れるような気がします

♪ しあわせは子猫のかたち
やはりこの作品も人とのつきあいが苦手な内向的な主人公です。
そんな彼が大学に通う間叔父の持ち家に住むことになりますがそこはかつて
ストーカーに殺害された女性が住んでいたのでした。
そこに住むようになり不思議な現象が起こるようになります。
別に主人公を怖がらせることはないのですが前住んでいた女性がまだ生活
しているかのような現象が起こるのです。
また彼女が飼っていた子猫が居着いていて彼らも彼女がいるようなそぶりを見
せるのでした。
主人公は怖いと思わずそんな現象の中彼女を尊重して共同生活をしちゃいま
す。相手のいしはなぜかくみ取ることが出来る主人公ある意味相性が良いの
でしょう、殺された女性もそのことを恨んでいるわけでもなく不思議な関係です
そんな中大学で主人公に話し掛けてくる人物が・・・彼と仲良くなり家に招待し
た結果・・・
最終的に失われたものが多かった主人公でしたが彼女は去り際に最初で
最後の手紙を主人公に残して成仏していきます。
そこには感謝の言葉と彼女の思いが綴られていました
それまで人とのつきあいを拒絶してきた主人公を彼女は励ましていきます

♪ ボクの賢いパンツ君
4ページのショートショートですがこれは男の子にしか分からないお話ですね
子供の頃ブリーフをはいていていつしかトランクスに切り替わる、その心理描
写となっています。

♪ マリアの指
この作品はちょっとしたミステリーになっていて面白かったです。謎解きに関して
はかなり強引ですけど、老若男女とわず惑わせる美貌を持つマリアという女性が
電車に飛び込み自殺を図ります。
遺体はバラバラになっていてかなり酷かったらしい、あのの同級生だったことも
あり子供の頃から知っていた主人公は彼女の死後彼女がえさをあげていた
白い猫のえさやりをするようになります。マリアだけにしかなつかなかったその猫
も主人公になつきます。
猫は好きな人に自分が取ったものをみせにくる習慣がありますがある日主人公
に指を持ってきたのです。遺体から指が見つかっていないと聞かされていた
主人公はその指がマリアのものだと確信します。
指に着いた青い塗料を見たときに主人公はマリアの死が自殺ではなく他殺では
ないかと疑うようになり・・・

♪ ウソカノ
クラスで地味な存在・クラスでいじめられる存在だった主人公はウソの彼女を作
り上げる学生時代というのはそれだけでどんな人物もクラスで人気者になれた
ものです。
男子と女子ではまた違ってきます。
男子はとくに羨望のまなざしで見られるようになります
そんなウソをの彼女を創作していきその設定に合わせるように行動や知識を得
てその彼女に見合った男性になろうとします。
ある日そんなウソカノの存在を池田という元クラスのいじめられっ子に見抜かれ
てしまいます。油っぽいことから彼もクラスで浮いた存在だったけど大学生の彼
女が出来たことからクラスで一番の人気者になっていましたが・・・
そう同じ臭いがしますよね、やはり彼もまたウソカノを持っていたのです
だからこそ主人公のウソに気がついたわけですね、以後切磋琢磨してウソカノ
の作り込み自分強化にいそしむ二人でしたが池田君の嘘がばれてしまいます
一転し昔よりも酷い目に遭うようになった池田君、主人公の前に現れる幻の
ウソカノに諭され彼は池田君を救うのでした
面白いのは主人公たちがウソカノとのつきあいを真実みを増すためにいろいろ
努力したことが逆転に繋がることですね、テニスを猛練習していた池田君はあ
る日テニス部のヤツに練習相手にさせられます。
無様な姿を出してやろうという目的だったのに池田君の実力はいつの間にか
テニス部のエースに匹敵する実力に逢っていたのです
本気になった相手でも五分の戦いを魅せたことで彼はやっと認められたのです
ウソの彼女を作るよりそういう努力をクラスのみんなに魅せることが大事だっ
たような気がしますが・・・最後主人公は自分のウソカノののために練習した
ギターで弾き語りを行い回りの通行人を集める実力を魅せるのでした・・・
ウソカノは寂しい行為かも知れませんがそのウソに見合った自分作りをしてきた
ことが彼らを成長させたのではないでしょうか、見栄というのは男女年齢問わな
いですが良くもあり悪くもあることですね



にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ


該当の記事は見つかりませんでした。

2 Comments

nanaco☆ says..."読み直さないと!"
ねむりねこさん、こんばんは!

TBありがとうございました*^^*
ねむりねこさんのレビューを拝見しながら、
自分がこの作品の内容をほとんど覚えていない事に気付いてしまいました……(笑)
かろうじて『しあわせは子猫のかたち』だけは、記憶があります。

この本を読んだ時の何とも言えない切ない温かさだけは覚えていて、
また再読したくなってきました!!
『ZOO』や『GOTH』などは何故か鮮明に記憶に残っているんですが^^;
2016.02.07 21:29 | URL | #- [edit]
ねむりねこ says..."コメントありがとう"

私も過去作品はよほどの作品じゃないと覚えていませんから(^^;
『しあわせんは子猫のかたち』はとてもすばらしい作品でしたね
幽霊と主人公の共同生活というのがなんかいい感じですよね
幽霊はしゃべれないけど彼女がなにお思いなにを伝えたいか理解
して行動できる主人公がいい感じです。
2016.02.08 19:32 | URL | #/cnJv9tA [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://neneko1124.blog.fc2.com/tb.php/2905-bad35775
乙一「失はれる物語」読みました〜♪
著者:乙一 出版社:角川書店 サイズ:文庫 ページ数:381p 発行年月:2006年06月 価格:\580(税込) 【失はれる物語】乙一 目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演...