【NOVEL】 呪われた村
著者:ジョン・ウィンダム
出版社:早川書房(初版1959年)
翻訳者:林 克己
発表年:1957年
原題:The Midwich Cuckoos
形態:ハヤカワ文庫
単行本:なし
他出版社:なし
ジャンル:SF
シリーズ:ノンシリーズ
【あらすじ】
9月26日月曜日の夜半、ロンドンにほど近い小村ミドウィッチに白く輝く円盤状の未
確認飛行物体が着陸するや、半径1マイル内のあらゆる生物を眠らせてしまった。
そして24時間後、円盤はふたたびいずこへともなく姿を消した。住民はすべて無事
村は何事もなかったかのように見えたが……村に住むあらゆる受胎可能の女性—
17歳から45歳までの全員が妊娠していたのだ!
ター監督のSF映画【光る目】はしってるかたも多いと思います。
この作品はその原作になります。
書かれたのが50年代後半ということもあり時代背景が伺えますが名作SFの1冊で
す。
映画だと子供達の怖さがメインでしたけど原作は宇宙人や子供達の怖さではなく
代理母の意義や母性愛とくに原題ミドウィッチ村のカッコーが示すとおりミッシング
リンクをメインに描かれています。
宇宙人である子供を地球人が育てる、村だけの問題ではなく世界規模になってい
たとき人類は子供達をどう扱うのか・・・ここに代理母となってしまったミドウッチィの
女性達の母性が関わってきます。
SFでありながら社会哲学をベースにしている点が面白かったです。
ただ侵略物とはいっても静かなる侵略ということでエイリアンVS人類というどろどろ
した侵略ものとは違うのでそこは期待しないでください、そもそも彼らは侵略するた
めに地球人を代理母にしたのか結局のところ不明です・・・彼らが力をふるうのは
防衛本能のみでしたし、彼らのそっとしておいてほしいという言葉も実は本音なの
かもしれません、人類基準では9歳の彼らですけどその思考は成熟したものでした
彼らが大人になったときどうなるかは不明です。
一応世界中でも同じ現象が発生しておりそのつど現地の人たちにより力で押さえ
られています。
力とはそういうことですが見た目が子供だし結局女性達は自分のおなかを痛めて
生んだことには変わりがないわけだし彼らが何をしたというわけでもないのですが
UFOの技術力に一定の範囲に入る生物を昏睡させる技術などを考えると・・・
子供達は実はエイリアンそのものではなく侵略兵器だったのではないかと思えま
す。
だから自分たちをそっとしておいてほしいという彼らの言葉はやはり本音だったの
では・・・
彼らに注ぐ愛情と教育がしっかりしていれば・・・でも10人とかそういうレベルじゃ
ないから難しいのか・・・しかし彼らの本音が借りにそうだとしても人類・・・大人は
彼らを驚異に思うわけで彼らをそっとして彼らが増えていけば元からいる地球人は
どうなるということでしょうね、この作品は地味に展開しますけど作品の本質は
深いものだと思います。
ラストでのゼラビーさんの選択は正解だったのか間違いだったのか・・・分かりませ
ん、借りに宇宙人の侵略だとしてもこのやり方は実際に攻撃されるのと同等酷い行
為だと思います。




