【NOVEL】 サリーはわが恋人
著者:アイザック・アシモフ
出版社:早川書房(初版1988年)
翻訳者:稲葉 明雄
発表年:1969年
原題:Nightfall and Other Stories
形態:文庫
単行本:なし
他出版社:なし
ジャンル:SF
シリーズ:ノンシリーズ
【あらすじ】
アップル・グリーンに輝く流線形の車体に高性能の陽電子頭脳を搭載した完全自動
制御の夢の車、それが“サリー”だ。ところが、そのサリーを盗みだそうとする、
とんでもない男が現われた!―表題作はじめ偉大な科学者ジョーンズ博士が発明し
た惚れ薬が巻き起こす、若い恋人たちの悲喜劇をユーモラスに描く「当世風の魔法
使い」見るからに醜悪な異星人に襲われる美女という、パルプ雑誌でおなじみのパ
ターンを逆手にとって、アシモフ流にアレンジした「この愛と呼ばれるものはなにか」
など、巨匠がさまざまな技法を駆使して紡ぎだすヴァラエティ豊かな傑作短篇15篇
を収録。
も描かれており楽しめます。
特に面白かったのは表題作の『サリーはわが恋人』『正義の名のもとに』
『もし万が一・・・』『蠅』『ここにいるのは』『こんないいひなのだから』ですね・・・
表題作のサリーはわが恋人は今で言うところの人工頭脳をもった車たちのことで
この時代だと車に標準装備みたいです。
今でも車にコンピューターを装備されていますけどそれらに自我を持たせたって
感じですか・・・ちょっと世代的にあれですけど昔のTVドラマ『ナイトライダー』の
しゃべらないナイト2000という感じですね、あとトランスフォーマーでいいますと
変形しないバンブルビーかな・・・
主人公はわけありとなったそういった自動車立ちを引き取って世話をしている老人
です。
特にサリーと名付けた車をかわいがっています。
彼に言わせると2ドアクーペが女性で4ドアセダンが男性だそうです。
日本だと軽自動車がありますけど子供になるのかな?
そんな幸せに暮らしていた彼らたちに悪党が現れ車立ちの陽電子回路を奪おうと
します。
老人も脅され生命の危機になり・・・
というお話でした。
『正義の名のもとに』
この作品は短編ですけど壮大な物語ですね、2人の英雄の人生を描いた作品で
ディアボリ星人と人類の存亡を描いています。
面白いのはディアボリ星人は単一国家で一つの意思に統一されているエイリアン
ですべての星人が一つの意志にまとまっています。
人類は現在もそうであるようにいくつもの国家に分かれており意思が統一されて
いません、日本だけを取ってみても政党の乱立により物事がなかなか決まらない
など弊害があります。
その差が宇宙の覇権を争ったときに侵略スピードに差が出てしまいます
人類がディアボリ人に進行されるのも時間の問題と感じた若きアルトメイヤーは
彼らに対抗するには人類も80ある惑星国家をまとめて連邦国家にするべきだと考
えます。
親友のストックはそんなことは実現不可能だと諭しますが聞き入れません
戦争に参加せず地下で連邦国家設立を目指しすアルトメイヤーと軍に参加し実績
を積み国の要人になっていくストック目指す目的は同じ出るけど手段が違う二人
の人生を描いてました。
ラストはストックも理想は連邦国家であることは理解していますがそこに至るまで
の道筋はアルトメイヤーのやり方ではない、そしていざそのときがきたら必要なの
は自分ではなくアルトメイヤーである、彼はその道を開きつつもアルトメイヤーが
直接的な行動にでたさい彼がいなくなうことの内容に罪を着せて幽閉したりしてい
たと思います。
彼自身も語っていましたが実際に歴史に名を残すのはアルトメイヤーだろうと
そしてアルトメイヤーでなければならないという考えがあったんですね
『もし万が一』
この作品は二人の幸せなカップルのお話です。もし万が一・・・これは人生におい
てもしあのときあの選択をしていたらどうなっていただろう?って思うことがあるよ
ね、人生にはいくつもの分岐点があります。
まるであみだくじのようですね、自分がその都度どの選択を選ぶかによって人生
は大きく変わっていきます。
もしあの高校を選んでいたらとか、二人の主人公夫婦はもしあのときの出会いが
なかったら私たちはどうなっていたのだろうと思います。
そこにその万が一を見せることが出来る人物が現れ・・・
最終的に今が幸せなのに万が一を考えても仕方がないと悟りそんなことは考えな
くてもいいと思い直すというお話です。
『蠅』
まさしくタイトル通りでなぜか蠅たちにまとわりつかれる人物のお話でちょっとオカ
ルトなはなしです。
友人がその人物の蠅を捕まえて研究しちゃいます。
なぜ彼は蠅にまとわりつかれるんだろう、つぶしても次から次へと現れる、彼は
そんな彼に魔王ベルゼブブの話をします
蠅の王と言われる悪魔ですね、研究結果というかまあ友人の仮説ですけど
おまえってベルゼブブだよねって話です・・・
『ここにいるのは』
スパーコンピュターを開発中の人の科学者があるとき1人が恋人とデートに向かう
前に研究所に電話を入れます。
もう1人が居ると思ったからです。
確かに電話に出て話をしました。
気になって直接もう1人に電話をかけると研究所には居ないと言われます
おかしいと思った二人と恋人は研究所に向かってみると・・・コンピューターが自我
をもったらというお話です。
『こんないいひなのだから』
この作品は人類が引きこもりになり外の世界を知らずにいる時代のはなしです
移動はどこでもドア・・・かく建物にワープできるドアが設置してあります
電気代がかかるけれど海外へも座標を設定してドアを開くだけですね、そんな時
代ある家庭でドアが故障してしまいます。
学校に行く子供は隣の家のドアから学校に行くように指示します。
子供は外に出てとなりの家に向かうけど・・・外の自然のすばらしさを初めて知っ
た子供は外の世界の虜になってしまう、そもそもなぜ外が忌み嫌われるようにな
ったのかよく分かりませんけど・・・それを知った母親は精神科医に相談する
というお話です。
なんだか外の世界はすばらしいのに家に引きこもっていないで外に出なさいと
現在の引きこもりの多さを指摘しているようなきがしてきました(^^;
そうだ外に出よう!そう思わせる作品ですね(笑)
他の短編もとても短い物から多彩で面白い内容が多いです。




